後ろの席のヤンキーくんと甘いヒミツ
「その、良かったら……また二人でこうやって、カフェに行ったりしような」
照れくさそうにそう言うと、緒方くんが席から身を乗りだしてくる。
そして、彼は私の頭をポンポンと撫でた。
「……っ!」
至近距離で緒方くんに頭を撫でられた私は、カッと頬が熱くなる。
緒方くんに微笑まれたり、触れられたりすると、ここ最近は胸が高鳴ることが増えた。
今だって……尋常じゃないくらいドキドキしている。
最近気づいたけど、自分がこんなふうになるのは、男の子だと緒方くんだけなんだよね。
これって、もしかして……。
さっき、なぜか緒方くんと離れたくないと思ったのも。彼ともっと一緒にいたいと思ったのも……全ては、私が緒方くんのことを好きだから?
「……っ!」
激しく乱れる自分の鼓動は、胸の奥に芽吹いていた感情を自覚させるのに十分だった。
そっか。私、いつの間にか緒方くんのことを好きになっていたんだ。
自分の気持ちに気づいた途端、いま目の前にいる彼のことが、尚更愛おしく感じる。
「それじゃあ、約束ね」
私は緒方くんの目の前に、小指を差し出す。