海と少女
「この雪じゃ、車出せねぇよ」




タイヤは冬仕様になんてしてなかった。

しかも、家はきついこう配を登ったところにある。

家の前だけではない。

ここの漁村までの道は、細く狭い海岸線を走り、かなり激しいアップダウンの道だ。

スリップしようものなら、海へまっしぐらだった。



「ちっくしょー!」


誰に向かって言ってるのか。たぶん自分に向かってなのだろう。

信也は吐き捨てた。

そして家に入る。



あたしは思った。

どこにも行けないのはつらいけど、これで信也のギャンブル熱が冷めればいいのに…
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