没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
「嘉納菜皆さんね? どうぞ、お掛けになって」
「嘉納菜皆と申します。失礼いたします」
私はイスに座り、履歴書などを鞄から取り出した。
「私は、メイド長をしています逢沢です。履歴書ありがとう、拝見します」
彼女は履歴書と診断書を確認を始めた。
「……履歴書等、確認しました。嘉納さんはいつから来られますか?」
「えっ」
「あ、採用よ。これからよろしくね。いつからでも大丈夫なら……三日後くらいに来てちょうだい」
それから自分と保護者のサインをしないといけない書類を渡されて私は帰宅した。