没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
それから三日後、私は伯母様が買ってくださった花柄のワンピースを着てボストンバッグを持ちお屋敷を後にした。
鷹司家に到着し、迎えてくれたのはメイド長だった。メイド長から使用人棟の女子寮に案内を受け、荷物を置いてメイド室という部屋に案内される。
「改めて、メイド長の逢沢花音です。来てもらってすぐで悪いんだけど、制服のサイズ確認していい? 嘉納さんは、Sかな」
「はい、いつもそのサイズです」
「じゃあ、Sにしましょう。サイズが合わなくなったら言ってくれれば大丈夫だから」
私は制服を受け取ると、制服の着用方法や髪は纏めることなどを細かく言われて抑制剤をしっかり飲むこと、念の為の予備を持ち運ぶことを伝えられる。
「……こんなところね。明日から働いてもらうのだけど、平日は十三時半からだから。本邸には裏口から入ってね」
「はい。わかりました」
逢沢さんは出ていき、私は制服を袋から出す。
そこには逢沢さんたちも着ていたメイド服と同じだけど、色が紺色だった彼女とは違い膝下の長さがあるピンクと白のギンガムチェックの白襟付きのワンピースにフリルの白エプロン、ピンクのリボンタイ、靴下が入っていた。
「こ、こんなの着るの? なんか、コスプレみたいで恥ずかしい……」
メイド服を見て恥ずかしくなりながら、私は学校の課題をすることにした。