没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
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学校が終わり、寮に帰宅した私は学校の制服からメイド服に着替えた。
「これでいいのかな……」
鏡台の鏡を見ながら髪を整え、一つにまとめてお団子にするとスタンドミラーで確認をする。ポケットにメモを入れて抑制剤を飲んで部屋を出た。
女子寮から本邸までは徒歩一分もかからない。本邸の裏口の扉横にある数字のボタンを教えてもらった暗証番号を入れて入る。
するとすぐそこで作業をしていた人に声をかけられる。
「あ、もしかして……あなたが新しい子?」
「はい。嘉納です」
「やっぱり! 私、レミっていうの。新しい子が来るってメイド長が言ってたからまだかなぁって思ってたんだぁ」
「レミさん」
「うん。じゃあ、メイド長のとこまで案内するよ」
レミさんという方に案内してもらい、メイド長室へ向かった。
「菜皆さん、待ってたわ。とても似合ってるわね」
メイド長室に行けば、逢沢さんは何か書類仕事をしていた。私が来たからか手を止めると書類を簡単に片付けをする仕草をした。
「あ、ありがとうございます……今日からお世話になります」
「こちらこそよろしくね。じゃあ、早速、屋敷内を案内しながらメイドたちに挨拶しましょうか」
「はいっ」
逢沢さんに付いて屋敷内を案内された。
玄関やリビング、鷹司家の当主さまの部屋や当主夫人、今は留学中の嫡男の方の部屋を教えられてそれからは、キッチンに洗濯場を回った。
「まぁ、まずは見習いなのでランドリー室からね。一ヵ月は、どの場も経験してもらってるからよろしくね」
「はい、わかりました」
「紹介するわ。ランドリー室、ランドリーメイド頭のメイコよ。……メイコ、嘉納さんのことよろしくね」
メイコさんは「かしこまりました」と言いお辞儀をした。
「菜皆ちゃんも頑張ってね」
逢沢さんが去っていくと、メイコさんにランドリー室内を案内される。
ランドリー室といっても別れていて、洗濯物を回収したかごの部屋・洗濯と乾燥機の部屋・アイロン部屋があり回収と洗濯係に干す係、アイロン係というかんじで担当に別れていた。
「嘉納さんは、まず回収係からね」
「はい。頑張ります」
メイコさんは、同い年くらいの女の子を連れて来て指導係だと紹介されて早速回収仕事に向かった。