没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
「……っ、おっと」
身体が支えられ、だれかの腕の中で抱き抱えられた感じだ。その触れている腕が当たる場所が先ほどより熱ってきて甘い声が漏れでる。
「……っん」
「君は」
その声の人を見ようと思い離れようとしたが力が入らなくて離れることができずにいると、唾を飲むような音がした。
「……っあ、の」
「休憩する場所に行こう。……ここだと危険だ」
そう聞こえてきて横抱き、いわゆるお姫様だっこをされてこの場から離れた。気が失いそうになりながらもなぜか落ち着いく。
運ばれて着いたのは帰ってきたとされるご子息様の部屋だった。室内に入ると、ベッドらしき場所に下される。