没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
「……少し待っていてね」
彼はそう言い離れると、マラソンしたみたいに息切れたように苦しい。だけどすぐに戻って来ると、彼は優しく手を繋いだ。
「君のその苦しいの取ってあげる」
意識が飛びそうなのに体が疼いていて、自分じゃどうすることもできなくて彼の優しい言葉に私は頷くしかなかった。
「……取って、くださいっ……おね、がい」
「ん、わかった」
彼に縋ってすぐ、指を絡められ手を繋ぐと顔が近付いてくるのを感じた。
「――……んんっ」
唇が重なり、すぐキスをされているのがわかる。初めてのキスだったけれど、甘くて疼いていた身体が落ち着いていくのを感じた。
「……っ、やっば……」
その声を最後に私は意識を手放した。