没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
「まずはお茶を飲もう。軽食も食べて」
「……ありがとうございます」
スタンドにあるのは、たまごサンドやハムチーズなどの定番サンドイッチに加えフルーツとクリームのフルーツサンドだ。
どれも美味しそうだが、こんな豪華なものを食べてもいいのだろうか。
それにこの紅茶も絶対に高い。
「……食べないのか? お腹すいてない? 好きじゃなかったかな?」
「い、いえ! 滅相もございません! ただ、こんな豪華なもの私なんかが……」
「菜皆ちゃんのために用意させたんだよ。だから、食べてもらわなきゃ困るな」
「……ありがとうございます。じゃあ、いただきます」