没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。



 私は手を合わせると、紅茶の入ったティーカップに口をつけた。花と果実の甘い香りに癒されて、渋くなくて飲みやすい。


「……美味しい」


 思わず声が出てしまう。それからたまごサンドを選び一口食べると、ふわふわの甘いたまごペーストが口いっぱいに広がって美味しい。


「どう? 美味しい?」

「はい。優しい味がします……とても美味しいです」

「良かった。食べたいだけ食べてね」


 そう言われ、最初は遠慮していたがお腹は空いていたのかそれからも三つほど食べてしまった。

 食べ終えた頃、スタンドは片付けられていき新しい紅茶が淹れられる。


「菜皆ちゃん、話があるんだ。聞いて欲しい」

「は、はい」

「菜皆ちゃん、君は僕の番なんだ」


 ……へ?今、なんて……?



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