没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。



 たしか、『ボクノツガイ』って言ったよね?嘘よね?


「あの、エイプリルフールじゃないですよ……? 私みたいな一般人が?」

「もちろん知ってるよ。だが、番なんだ。間違いない。君には足首にアザがあるでしょう?」

「……え? あ、はい」


 本当なら第二の性がわかる最初の検査でΩと診断されて人の手によってアザ……焼印がされるのだ。でなければアザはないはずなのだけど、私のこのアザは生まれつきだ。だけどなんで知ってるんだろうか。


「先ほど確認させてもらった。俺にも君と同じアザがあるんだよ」


 そう言って彼はしゃがんで足首を私に見せた。それは私のアザと同じでお月さまと牡丹の花が描かれているものだ。


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