没落家出身令嬢は、エリート御曹司の香りに抗えない。
それから二日経ち、私は考えていたことを伝えるために伯母様に声を掛けた。
「話って何?」
「私、働きたいです。このままお世話になるばかりじゃ申し訳ないですし、住み込みでもなんでもどんな仕事でもします。だから紹介していただきたくて」
「え、仕事?」
「はい。学校は半日しかないフロンティアスクールですので、午後は働けます」
少しでも早くお金を稼がなきゃお祖父様のお酒代が本当に無くなっちゃう。伯母様に頼らなくてもいいようにしなくては……
「でも、なみちゃん。ずっとここにいてくれていいのよ」
優しくそう言ってくれたが、やっぱり私はこの家族の中には入れない。
伯母様一家は、温かくて理想的な家族だ。
それが私には眩しくて仕方ないから、というのもある。