あなたは本当に憧れの先輩? 6年ぶりの再会は運命の出会い
凛はぼう然と玄関でペタリと座っている。
宙は警察に連絡し、凛の様子を気にしながらパトカーの到着を待っていた。

「あ、菊池さん、親戚の人に連絡するか?……菊池さん、大丈夫か?」

「……あ…親戚……いません…」

「じゃあ、ウチのお袋にも一応連絡するな」

気が抜けている凛は頷いた。
宙は母親に連絡している間も凛の様子を見ていた。
凛は震えた両腕をクロスして自分を抱きしめていた。
電話を切った後、凛を抱きしめてあげたいと思った宙。
サイレンの音がしたので外へ出てパトカーに大きく手を振る。

警官に事情を説明し家の中へ入ると、ベランダの窓から侵入したらしく、リビング横の仏壇は引き出しが開けてあり、遺影の写真は床に落ちていた。

「菊池さん、気が動転していると思いますが、盗まれた物が何かわかりますか?」

「通帳とハンコはいつも持ち歩いてます。おばあちゃんの部屋に形見の指輪とかネックレスが…」

「どのお部屋ですか?」

「あっちです…」警官と一緒に家中を確認した凛。
盗まれたものは形見の指輪、ネックレス、ブローチ、父親の時計とネクタイピンだった。

警察は鑑識が粉を振りながら捜査していた。

「この後、警察署にご同行願います。
ところで、菊池さんはケガをされてますがこれはどうされたんですか?」

「こちらの澄川さんと食事をしたあとお店の前で転んでしまって… 手当てしていただき、送っていただいたんです」

「そうでしたか。お一人ではなくて良かったですね。」

「はい」

結局、被害届を出したりいろいろな手続きを終えてタクシーで宙に説得されて宙の家へ行く事になった。
< 27 / 130 >

この作品をシェア

pagetop