あなたは本当に憧れの先輩? 6年ぶりの再会は運命の出会い
「状況説明は……」と部長が宙、つぐみ、凛を見る。
「私からさせていただきます。細かいところは菊池さんに補足してもらって…」

「じゃあ、頼む」
宙は状況を説明し、部長はつぐみにも確認する。
「菊池さん、相手の男は誰?」

「ミヤザキ商事の加山さんです。
数日前、うちの前で人とぶつかったのですが、私は相手の顔を覚えて無くて……
今日、庶務とのお仕事で受付した際にぶつかったお詫びにお食事に誘われて、お断りしました。
そして定時退社して外に出たところで話しをしたいから食事に行こうと強く腕を引っ張られて怖く思ってたところに澄川さんが声を掛けてくれたので、助けを求めてたんです。」

「そうでしたか。ちょっといろんな部署とも相談ます。
今日はタクシーで帰った方が良い。
ショックだろうし、来週の月曜日から出勤して下さい。」

「はい。すみませんでした。」

「菊池さんは被害者なんだから、謝る必要はないんだよ。ね。」と部長は優しい言葉を掛けてくれた。

ミーティングルームから出て、部長たちにお辞儀をしてつぐみと会社を出て直ぐにタクシーに乗って帰宅する凛。

タクシーを見送りながらつぐみは凛が会社を辞めるのではないか不安を感じていた。
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