私に三次元の恋なんてありえない

生意気後輩との出会い

姫宮side
小野坂おはよ桃


下駄箱で挨拶される

「お、おはよう!」



言わなきゃ言わなきゃ言わなきゃ言わなきゃ


頑張れあれん!私ならできる!!



「あのね!小野坂!」


「ん?」


「あの、じ、実は…実は、わ、私!!」


「??」


「やっぱりなんでもない忘れてぇええぇええぇええ!!」



「あっおい桃!!」


私はとにかく走った。


やっぱり言えない!言えないよ!!


あの純粋な瞳を私の手で傷つける訳には!!


そして角を曲がろうとした時、何かがいた。


やばい、ぶつかる! 


ドンっ



「わっ…」



「いった〜…」


「あ、ごめんなさい!!」


ってなんなんだこの伊織様そっくりなイケメンは!!!


「大丈夫?」


「あー、足挫いたかも」



「え?嘘!?保健室行こう、私が連れてく!!」




保健室まで肩を貸した。



「あ、先生居ないね…椅子座ろっか!…よいしょ」


「……」



「ほんとにごめんね…私が走ったばっかりに」



「…あ〜〜ごめんやっぱ嘘」



「へ??」


何が嘘なんだろう??


「足挫いたっての、嘘」


「ほんと!よかった〜怪我させちゃったと思ってたよ!」


ん?でもなんで嘘なんか?


「あんた、姫宮桃先輩だよね?」



「そうだけど、なんで知ってるの?」



「1年で噂になってる、3年になんでもできる完璧美少女がいるって」



改めて言われるとなんか嬉しいな…///って


「君、1年生!?」


「そうだよ?」


「思いっきりタメ口だからてっきり同級生かと思った」



「俺敬語とか使えないから」



でしょうね!!!



「俺1年3組、一ノ瀬蓮、俺先輩のこと気に入ったわ」



「…はい??」




教室戻る最中、私はずっと考えていた。


何あの生意気男子!!??


私先輩な!


めっちゃなめられてるじゃん!!


てか私のこと気に入ったとは!?


どういうこと??


分かんない分かんない分かんない!!



「あ、桃!」


「小野坂!」



「さっきは急に走って、どうしたんだよ?」



「ああ、ちょっとね」



「それより、さっきなんか言いかけてたよな?言いたいことあるなら、ちゃんと言えよ?」



「ううん!ほんとになんでもないの!!大丈夫だから!」


言えるわけがないよ



「そうか?ならいいけど」



キーンコーンカーンコーン
「はい、じゃあここまで!」


午前中の授業が終わって、みんながざわざわし始めた頃


「ああ〜ねみぃ〜」



「やっと起きたな〜、この睡眠魔め」


「るせぇ…ノート、また貸して」



「また?」


「いいだろ?桃のノート見やすいんだよ」


「分かった」



「サンキュー!やっぱ頼りになるわぁ」


言えない!!そんなこと言われたら言えないよ!!



「桃お昼行こ」



「うn…」



「姫宮せーんぱいっ!!!!一緒にお昼食べましょう???」


その一言で教室中が静まり返った。




「えぇえぇええええええ!!?!?!?」



「ついに姫宮さんに彼氏!?」
「相手めっちゃイケメン!!お似合いカップルじゃん!!」



「え…な、なっ、なんで一ノ瀬くんがここに!?」



「言ったでしょ?俺先輩のこと気に入ったって!」



「だからって教室くることないでしょ!」



「そうですか??」


そうですか?じゃないでしょ!!!!


「もう、このバカ!」

「わっ!」



一ノ瀬くんを引っ張って教室飛び出した。



「な、なんだあいつ!!!」


「ここで恋のライバル登場か〜??」



「嘘だろ!?」



「仲村動揺しすぎ」


「別に、動揺なんかっ…!!」


「さっさと動かないと、桃とられるのも時間の問題かもよー?」




どれだけ走っただろうか。


理科室なら誰にも見つからずに話ができると思って、一ノ瀬を理科室にぶち込んだ。


「先輩ったら大胆だね、こんな人気のない理科室連れてくるなんて」



「一ノ瀬くんが堂々と教室で叫ぶからでしょ?大胆はどっちよ!」



「まぁまぁ落ち着いてよ先輩」



「落ち着けるわけないでしょ」


ほんと生意気!!
 


「…ねぇ、今朝の、気に入ったってどういう意味なの?」



「まんまの意味だけど??」



まんまの意味??




「俺さ、先輩の秘密知ってるよ??」




「秘密?…えっと、それは、どういう?」



「先輩、アニオタでしょ??」



「!?…いゃあぁああぁぁあああ!!!」



嘘でしょ嘘でしょ!


よりに寄ってこの男に知られるなんて!?!?


終わった、私の人生……終わった。



「叫びすぎ、耳潰れるから」


「な、なんで…」



「ああ、さっき、伊織様?に似てるって言ってたよね?」


それ!私の心の声!!!


「聞こえてたの!?」



「伊織、金髪で調べたら、俺にそっくりなキャラでてきて」



伊織様ぁあぁああ!!!

貴方は私をお助けくださる神様ではないんですか!!!



「いやぁ〜〜……あの完璧キャラの先輩がまさかアニオタだったなんて、俺もびっくりだわ」



「…ひいたよね」



「……別に?誰が何好きになってもその人の勝手だし」



「え?」



ひかないんだ…


「…あ、あのさ…」



「ん?」



私は思いっきり土下座した


「えなに?」


一ノ瀬くんは不思議そうにこっちを見ていた。




「お願いします、このことは、どうか!!!黙っていてください!!!」



私がこんなことするなんて!!

でも秘密を知られたくない!



「へぇ〜〜…じゃあさ……俺と付き合ってよ?」




「…はい!?!?」

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