私に三次元の恋なんてありえない

私の秘密

キーンコーンカーンコーン

チャイムがなって授業が終わり、放課後になった。


「帰ろ」


と、仲村が話しかけてくれた。

「うん!」


「今日家寄ってもいい?」
「いいよ、あれ見よ」
「だな」



小野坂side
俺は一つ疑問がある。

幼馴染である桃は何故か家に入れてくれない!!



だから実質俺は好きな子の家に入ったことがない!



一度もだ!!これはいかん!由々しき事態だ!!



「今日こそ桃の家に言ってやる!!!」


「なーに1人で叫んでんだ小野坂笑はやく部活行くぞー」



猛烈ダッシュで桃を探していると、下駄箱で靴を履き替える姿を見つけた。



「桃ーーーー!!」


名前を叫びながら桃に近寄った



「えぇ!?小野坂どうしたの??部活あるんじゃ…」


桃はびっくりした様子だった


「その前に話があって!」


「あ、先行ってるね〜」



「うん」


仲村、なんでいい友なんだ。
空気よめすぎだろ!



「話ってなに?」


言うんだ俺!!!

「あのさ……今日、部活終わったら、お前んち、いってもいいk…」
「ダメ!!!!」
「はやっ…!」


瞬殺だった。


「もう、何度も行ってるでしょ!私の家はダメ!」


「なんでだよ」


「そっ、それは……汚いから」


「片付ければいいだけだろ」


「そ、そうだけどめんどくさいの!とにかく私の家はダメ!!絶対ダメだから!」


「…分かったよ」

数秒の沈黙が流れた。気まずい…

「じゃあまたね」


「おう………」


桃は颯爽と帰っていった。

俺はその場に蹲って言った

「ったく、あんな拒否らなくても…俺の気も知らないで」



姫宮side
ダメダメダメダメダメ!


私の家、いや家というより私の部屋だけは絶っっ対ダメ!!





だって!




だって!!!






「ただいま〜!!」

「おかえり〜、菜々ちゃん来てるよ?

「知ってるー!!!」



だって!!!!!!




ガチャ
「おぉ〜遅かったじゃん」


こんなにやばい部屋だから!!!


大好きなアニメのグッズで埋め尽くされてる部屋


「…ごめんごめん」


「はじまるよ?新アニメ!!」


「うん!……仲村!!ついにこの時が来たよ!!!……ミラージュサガの新シーズン!!!」




「い、いくよ!!」



「いいよ!!」

そう……私の誰にも言えない秘密とは


私が超絶アニメオタクだってこと!!!





仲村side
「いや〜〜よかったですなぁ〜〜新シーズンも!!」



「マジで怜王様イケメンすぎでしょ!!」


「伊織様だって負けてないよ!!見てこの背筋!!爆イケすぎでしょ!!!」


「まぁ怜王様と伊織様の爆イケ優勝ってことで」


「うん!いやぁ〜〜後でもう10回見よ」


「そうえば、さっき小野坂と何話してたの?」



「え?」


「どうなの〜?」
 

ニヤニヤしながら聞いた。



「…小野坂が、私の家に来たいって言っただけだよ?」


小野坂にしては大胆じゃん


「まだ隠してんの?」



「当たり前でしょ!こんなのバレたらこの世の終わりだよ!」



「このまま隠しきれると思ってんの??あんたが妄想大好きな超・絶・オタクだってこと!」



「それ言わないでよぉぉお!」



「いつかはちゃんと言いなよ、じゃなきゃ小野坂も可哀想だし」



「……そうだよね」




「ねぇ……あんたは小野坂のこと、どう思ってんの?」



「え?…好きだよ?」

好き???

「は?」


「あ!幼馴染としてね!」


ごめん小野坂…ご愁傷様



「え?なんで拝んでんの!?」



「ほんと鈍感だよね」



「え?」



「恋愛したいとかは思わないわけ??」



「うーーん今はいいかな!…私恋愛経験ゼロだし、付き合ってもきっとうまくいかないよ……それに!今は伊織様がれば十分だから♡」



と言いながら、伊織様のぬいぐるみを抱きしめた

やっぱ桃に恋愛は無理か




姫宮side
「じゃあまたね桃!」



「うん!また明日ね〜!」


バタンと扉のドアが閉まり、自分の部屋に戻った



「はぁーーー」


1人になった部屋でひとつ、大きなため息をつく。




やっぱり言わなきゃダメだよね


でも完璧キャラのままでいたい!!


でも嘘つくのは罪悪感が……!!



「ねぇ、どうしたらいいの伊織様!………答えてくれるわけないか…」




< 9 / 13 >

この作品をシェア

pagetop