夢のおわり、君とはじめる恋の続き
営業スマイルで商品をお客さんの前に置き、カウンターに戻る。



「凪咲ちゃん。ちょうど空いてきたし、今のうちに休憩入っていいよ」


「はーい」



この店のオーナーである誠也(せいや)さんが眼鏡の奥の瞳を優しく細めながら、カウンター越しに賄いのナポリタンを手渡してきた。


エプロンだけを外していつもの端っこの席に座り、早速今日の賄いを頂く。



誠也さんのカフェで働き始めたのは、高校生になったばかりの頃だからもうすぐで半年になる。


個人営業の昼はカフェ、夜はバーでもあるこの店で働いているのは私だけだ。


元々誠也さん一人だけでやっていたこのお店の生意気にも中学生からの常連であった私に、人手が欲しいから働かないかと誠也さんから誘ってくれたのだ。


誠也さんは大人の男性って感じでとにかく優しくて、賄いも美味しくて私は最高のバイト先で働けている。



つまらない学校の後の小さな憩いの場でありそれでいてお給料ももらえるのだから、やっぱり部活ではなくバイトに力を入れると決めてよかった。
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