「ちょ、俺が救世主!?」~転生商人のおかしな快進撃~
137. 舞い降りた死神
「ハーッハッハッハッハー!!」
いきなり上空から笑い声が響いた。不協和音のような笑い声が、勝利の余韻を打ち砕く――――。
見上げればヌチ・ギが見下ろしている。漆黒の外套を纏った姿が、太陽を遮るように立ちはだかっていた。
「やるじゃないか、ドラゴン……。まさかうちの可愛い娘が削除されてしまうとは……」
嘲笑を滲ませた声に、憎悪が混ざっている。
「フンッ! 『うちの』じゃない、『強引に攫ってきた』じゃろ? この人でなしが!」
レヴィアは真紅の目をギラリと光らせる。少女の姿をしていながら、その眼差しには龍の威厳が宿っていた。
ヌチ・ギは一瞬ピクッと頬を引きつらせたが、ニヤリと笑うと指先で優雅に空中を大きく引き裂いた。
「戯言はもういい……。さて、本番行ってみようか?」
虚空に浮かぶ亀裂から、漆黒の闇が滲み出している。裂帛の音と共に、空間そのものが歪んでいく。
まさか……と、思っていると、空間の切れ目からゾロゾロと戦乙女が出てくるではないか。一人、また一人と、まるで終わりのない悪夢のように現れ続ける。
それぞれに美しいビキニアーマーを着込み、魅力的な肢体をさらしながら次々と地上に降りてきた。銀の甲冑が陽の光に輝き、神々の軍団のごとく威容を誇る。
美しいブロンドをふわりとなびかせながらゆっくり降りてくる色白の乙女は気品が溢れ、まるで舞踏会に降り立つ貴婦人のようだ。
豪快に着地しエキゾチックな褐色の肌を大胆にさらしながら、漆黒の剣をブンブンと振り回す快活な乙女には、幾多の戦場を潜り抜けてきた強者の風格が漂う。
豊満な胸を揺らしながら大きく伸びをしてストレッチをする茶髪の乙女。余裕を見せるその仕草には挑発を感じる。
ヌチ・ギの方を向いて何か言葉を交わす黒髪ポニーテールの細身の乙女。その眼差しには忠誠と殺意が混在していた。皆、ため息が出るような美人ばかりである。しかしその一つ一つの所作には、戦士としての凄味が滲み出ていた。
俺たちは唖然として動けなくなる。先ほどまでの勝利の高揚感が、一瞬にして絶望に塗り替えられた。脚から力が抜け、膝が震えそうになるのを必死に堪える。
一人ですらあんなにてこずった戦乙女がこんなに出てきてしまってはもはやどうしようもない。身長二十メートルを超えるかという巨体の一人一人が神の使徒としての威厳を湛え、その眼差しには死神のような冷酷さが宿っていた。長く伸びる戦乙女たちの影が、絶望の闇を思わせた。
いきなり上空から笑い声が響いた。不協和音のような笑い声が、勝利の余韻を打ち砕く――――。
見上げればヌチ・ギが見下ろしている。漆黒の外套を纏った姿が、太陽を遮るように立ちはだかっていた。
「やるじゃないか、ドラゴン……。まさかうちの可愛い娘が削除されてしまうとは……」
嘲笑を滲ませた声に、憎悪が混ざっている。
「フンッ! 『うちの』じゃない、『強引に攫ってきた』じゃろ? この人でなしが!」
レヴィアは真紅の目をギラリと光らせる。少女の姿をしていながら、その眼差しには龍の威厳が宿っていた。
ヌチ・ギは一瞬ピクッと頬を引きつらせたが、ニヤリと笑うと指先で優雅に空中を大きく引き裂いた。
「戯言はもういい……。さて、本番行ってみようか?」
虚空に浮かぶ亀裂から、漆黒の闇が滲み出している。裂帛の音と共に、空間そのものが歪んでいく。
まさか……と、思っていると、空間の切れ目からゾロゾロと戦乙女が出てくるではないか。一人、また一人と、まるで終わりのない悪夢のように現れ続ける。
それぞれに美しいビキニアーマーを着込み、魅力的な肢体をさらしながら次々と地上に降りてきた。銀の甲冑が陽の光に輝き、神々の軍団のごとく威容を誇る。
美しいブロンドをふわりとなびかせながらゆっくり降りてくる色白の乙女は気品が溢れ、まるで舞踏会に降り立つ貴婦人のようだ。
豪快に着地しエキゾチックな褐色の肌を大胆にさらしながら、漆黒の剣をブンブンと振り回す快活な乙女には、幾多の戦場を潜り抜けてきた強者の風格が漂う。
豊満な胸を揺らしながら大きく伸びをしてストレッチをする茶髪の乙女。余裕を見せるその仕草には挑発を感じる。
ヌチ・ギの方を向いて何か言葉を交わす黒髪ポニーテールの細身の乙女。その眼差しには忠誠と殺意が混在していた。皆、ため息が出るような美人ばかりである。しかしその一つ一つの所作には、戦士としての凄味が滲み出ていた。
俺たちは唖然として動けなくなる。先ほどまでの勝利の高揚感が、一瞬にして絶望に塗り替えられた。脚から力が抜け、膝が震えそうになるのを必死に堪える。
一人ですらあんなにてこずった戦乙女がこんなに出てきてしまってはもはやどうしようもない。身長二十メートルを超えるかという巨体の一人一人が神の使徒としての威厳を湛え、その眼差しには死神のような冷酷さが宿っていた。長く伸びる戦乙女たちの影が、絶望の闇を思わせた。