シャノワールへようこそ!
*
「メイちゃんセンパーイ、お疲れ様です♡」
「桃ちゃん、これから入り?」
「はい♡」
シャノワールに最近入ってきた桃ちゃんは、一個下の後輩だ。
ミルクティーベージュの髪を二つに括り、縦ロールに巻いている。
その髪型がメイド服とよく似合っていた。
日が浅いのに私なんかよりよっぽどメイドが板についついる、器用で出来た後輩だ。
「メイちゃん先輩がついてたお客さん、ちょっとかっこよくないですかぁ?」
桃ちゃんの目線が、客席の高野くんに向く。
うちのメイドカフェの客層は、年齢層が高いこともあり、若く、その上容姿が整った高野くんの存在はえらく目立っていた。
「実は、同じクラスの人なんだよね」
「えー、それ、めちゃくちゃ気まずいじゃないですかぁ。桃、同じ学校のやつに来られたりしたら、絶対耐えられんのだが」
口元を押さえた桃ちゃんの手の爪は、ほんのりと桜色に染まっていて綺麗だった。
彼女の学校は国際スクールで、髪染めも、メイクもネイルもオールOKらしい。
私の学校もメイクはできるけれど、
私はバイトの時に薄づきにするだけで、学校ではノータッチだった。
「でも、私のこと気づいてなさそうだったな……」
「そうなんですかぁ?」
もし私が桃ちゃんみたいに可愛かったら、
身だしなみにきちんと気を使えて、
甘え上手で、
分け隔てなく人と接することができる人間だったら、
高野くんに気づいてもらえたんだろうか、
……なんて。
「おい、そこ! くっちゃべってないで、五番卓にパフェ持ってけ」
「っ、すみません」
キッチンの佐野さんに睨まれ、私は、慌ててパフェを受け取った。
しかし、桃ちゃんによって、スッとトレーごと取りあげられる。
「あのイケメンさんにですよね? 私行ってきまーす♡」
「あ、ありがとう」
本当に桃ちゃんは抜け目がないというか何というか。
……でも、これでよかったのかもしれない。
桃ちゃんの背中を見送りながらそう思った。
「メイちゃんセンパーイ、お疲れ様です♡」
「桃ちゃん、これから入り?」
「はい♡」
シャノワールに最近入ってきた桃ちゃんは、一個下の後輩だ。
ミルクティーベージュの髪を二つに括り、縦ロールに巻いている。
その髪型がメイド服とよく似合っていた。
日が浅いのに私なんかよりよっぽどメイドが板についついる、器用で出来た後輩だ。
「メイちゃん先輩がついてたお客さん、ちょっとかっこよくないですかぁ?」
桃ちゃんの目線が、客席の高野くんに向く。
うちのメイドカフェの客層は、年齢層が高いこともあり、若く、その上容姿が整った高野くんの存在はえらく目立っていた。
「実は、同じクラスの人なんだよね」
「えー、それ、めちゃくちゃ気まずいじゃないですかぁ。桃、同じ学校のやつに来られたりしたら、絶対耐えられんのだが」
口元を押さえた桃ちゃんの手の爪は、ほんのりと桜色に染まっていて綺麗だった。
彼女の学校は国際スクールで、髪染めも、メイクもネイルもオールOKらしい。
私の学校もメイクはできるけれど、
私はバイトの時に薄づきにするだけで、学校ではノータッチだった。
「でも、私のこと気づいてなさそうだったな……」
「そうなんですかぁ?」
もし私が桃ちゃんみたいに可愛かったら、
身だしなみにきちんと気を使えて、
甘え上手で、
分け隔てなく人と接することができる人間だったら、
高野くんに気づいてもらえたんだろうか、
……なんて。
「おい、そこ! くっちゃべってないで、五番卓にパフェ持ってけ」
「っ、すみません」
キッチンの佐野さんに睨まれ、私は、慌ててパフェを受け取った。
しかし、桃ちゃんによって、スッとトレーごと取りあげられる。
「あのイケメンさんにですよね? 私行ってきまーす♡」
「あ、ありがとう」
本当に桃ちゃんは抜け目がないというか何というか。
……でも、これでよかったのかもしれない。
桃ちゃんの背中を見送りながらそう思った。