『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
 ところでね、こんな大変な状況であってもわたしの体はどんどん成長しているのよ。
 あと3週くらいで外の世界へ出ていけそうなの。
 出産モードに入っているのよ。
 みぞおちくらいまであった子宮が骨盤の方へ降りると共にわたしも降り始めたの。
 それと同時に、体を覆っていた胎脂が消え始めたと思ったら、肌がピンク色になって、それもツルツルの肌になってきたの。
 それから、体つきはふっくらと丸くなって、赤ちゃん体型そのものになってきたわ。
 
 ここまでくるとすべての臓器が完成して機能的にも問題ないから、もういつ生まれても大丈夫なんだって。
 でもね、わたしは40週丁度に生まれるつもりよ。
 だって、ママのお腹の中は気持ちいいんだもの。
 もう少しこの幸せに浸っていてもいいわよね。
 ただね、子宮の中がちょっと窮屈(きゅうくつ)なのが難点なの。
 とはいっても、まだ手足を動かせるから運動不足にならないようにできるだけ動かすようにしようと思うの。
 あとちょっとの辛抱だから、頑張るわね。


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