『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
エピローグ
        エピローグ 

 わたしは新生児室のベビーベッドでぐっすりと眠り続けていた。
 とても疲れていたから、目が覚めることはなかった。
 骨盤から産道へ、そして、外の世界へ出て行くのにどれだけ時間がかかったか、どれだけの体力を使ったか、本当に大変だったのだ。
 精子様じゃないけど、「しんど!」って言いたくなるくらいだった。
 でも、ママの初乳(しょにゅう)をたくさん吸えたから、お腹がいっぱいになって気持ちよく入眠することができた。
 
 ママの横ではなく新生児室にいるのは理由があった。
 最近は母子同室が一般的になっているが、産まれた時にへその緒が首に巻き付いていたわたしは、看護スタッフが見守る必要があったからだ。
 だから、ここにいるしかないのだ。
 しかし、その方が安心なことも確かだった。
 
 ところで、わたしが産道を通り抜けて外の世界へ出るほんの一瞬の間に起こったことは、凄いとしか言いようのないことだった。
 本当に凄いものを見たのだ。
 それは地球の悠久(ゆうきゅう)の歴史であり、わたしの特別な使命だった。
 今、夢の中でそれが再現されようとしている。
 皆さんにも一緒にそれを見てもらいたいと思うが、それは不可能なので、これから見る夢をそのまま同時進行で伝えていこうと思う。
 皆さんがわたしの話に耳を傾けてくれたら、とても嬉しい。
 
 始まったようだ。
 でも、まだ何も見えない。
 ただ暗黒の世界が広がっているだけだ。
 しかし突然、何かが爆発し、鮮烈な光がすべてを覆った。
 眩しくて何も見えない。
 視界が強烈な光で埋め尽くされている。
 それでもしばらくして目が慣れてくると、何かが見えてきた。
 とても小さな何かだった。
 それは……、

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