『46億年の記憶』  ~新編集版~
        偵察魂 

 もしかして……、

 考子は考え込むような表情を浮かべた。
 生理が遅れているのだ。
 今まではほぼ28日周期で規則正しくやってきたのに、それがないのだ。
 
 なんだか熱っぽいし、とても眠たいし……、
 
 間違いないと思った考子は買い置きしていた妊娠検査薬を箱から取り出して、トイレに入り、紙コップに尿を採った。
 そして、その中へ検査薬を10秒つけた。
 それを折り畳んだトイレットペーパーの上に置いて、3分待った。
 終了という窓を見ると、縦に棒線が出ていた。
 その横の判定の窓にも縦の棒線が出ていた。
 
 授かった……、

 そのサインを見た瞬間、嬉しいというよりもホッとしたような気持ちになった。
 ガッツポーズが出るかと思ったが、ボーっとした状態で縦の棒線をただ見つめることしかできなかった。
 
 しっかりしなきゃ!

 考子は自らに喝を入れて、検査薬の説明書を詳しく読んだ。
 そこには、『妊娠反応が認められましたので、できるだけ早く産婦人科の医師の診断を受けてください』と書かれてあった。

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