『46億年の記憶』  ~新編集版~
 そうだった。
 これはあくまでも補助的な検査薬なので、確定診断は産婦人科でしなければならないのだ。
 すぐさま産婦人科へ電話を入れて予約を取った。
 そこは出産経験のある親友が紹介してくれた病院で、ネット上での評判も良かったし、女性医師ということも安心材料だったので、妊娠がわかったら受診することに決めていたのだ。
 
 実は、夫の新は産婦人科医なのだが、たとえ妊娠の診断であっても妻の診察はしたくないと断られていた。
 平常心で診ることができないというのが理由だった。
 多くの医師が同じだそうだ。
 例え名医と呼ばれている医師であっても身内の診察は緊張するということらしい。
「医者も人間だからね」
 と言った時の新の苦笑いを考子は思い出した。

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