『46億年の記憶』  ~新編集版~
 考子が受診した産婦人科の院長は40代半ばくらいの女性医師だった。
 夫以外の男性に下腹部や性器を見られるのは嫌だったので、安心して診察を受けることができた。
 
「初めてですか?」

 考子の緊張をほぐすように、医師が笑顔で優しく声をかけてくれた。
 
 問診が始まった。
 最終の生理日や現在の症状、薬の服用履歴などを聞かれた。
 
「尿検査をしますね」

 医療機関向けの妊娠検査薬で再度尿検査を行った。
 
「尿検査が陽性でしたので、超音波検査をしましょう」

 それを聞いてちょっと身構えたが、それを察したのか、丁寧な説明が続いた。
 
「この経腟プローブを膣の中に挿入して赤ちゃんの様子を見ます。それに加えて、子宮と卵巣の具合も見ます。この検査は初めてということなので不安がおありだと思いますが、心配いりませんので力を抜いてリラックスしてください。ちなみにこの経腟プローブはきちんと消毒していますし、コンドームを装着していますので、ご安心ください。ただ、人によっては挿入時に痛みを感じることがあるかも知れませんので、その時には遠慮なく申し出てください」

 考子は下着を脱いだあと、内診台に乗り、スカートをたくし上げ、足を広げた。
 緊張と恥ずかしさでドキドキしてきたが、自分と医師の間にカーテンが降ろされていて、自分の下半身が見えないようになっているので、時間と共にその恥ずかしさは薄れていった。

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