『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
 では、自己紹介の続きをさせてもらうわね。
 大きさはね、直径0.03ミリくらいかな。
 ちっちゃいでしょう。
 頼りなさそうに見えるでしょう。
 でもね、一人じゃないのよ。
 いくつもの細胞がわたしを取り囲んでいるの。
 そして、その状態を卵胞(らんぽう)と呼ぶのよ。
 
 わたしは今、卵巣(らんそう)から卵管(らんかん)へ放出されたばかりなの。
 ほっとひと息つきたいけど、そういうわけにもいかないの。
 だって、わたしの寿命は長くて24時間しかないから、その間に王子様と出会わなかったら人間にはなれないの。
 だから、これから必死になって王子様を探しに行くのよ。

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