『46億年の記憶』 ~命、それは奇跡の旅路~   【新編集版】
 ところで、わたしのママとパパのこと知ってる? 
 思い切り首を横に振ったわね。
 そこまで強く振らなくてもいいんじゃない? 
 といっても、わたしも知らないんだから、あなたが知らないのは当然と言えば当然よね。
 
 それはそうと、ママとパパはどんな人たちかしら? 
 いい人だったらいいな、
 素敵な人だったらいいな、
 なんて思ったら、どんな人か知りたくなっちゃった。
 ちょっと見てみようかしら。
 
 今度は頷いたわね。
 ありがとう。
 では、早速観察を始めます。
 とはいっても、わたしはママのお腹の中にいるから二人を見ることができないの。
 だから、魂の一部を分離して体外に飛ばすことにしたの。
 
 そんなことができるのかって? 
 できるのよ。
 さっきも言ったでしょ、わたしは特別な卵子なんだって。
 わかった? 
 それでは、偵察魂(ていさつこん)を分離して、ママとパパの観察を始めます。


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