『46億年の記憶』  ~新編集版~
「うまくいったかしら?」

 (あるじ)考子(たかこ)が夫の顔を覗き込んだ。
 
「どうかな? でも、いい予感がする」

 (あるじ)(あらた)が自信ありげに頷いた。

 2日間の愛の契りを終えた2人はベッドで微睡(まどろ)んでいた。
 
「どっちがいい?」

「どっちって……、気が早いな。それより今は君の分身に僕の分身が巡り合っていることを祈るだけだよ」

「そうね。多分というか、絶対大丈夫だと思うわよ。だって、びっくりするくらいあなた元気だったから。うふ?」

 考子は思い出し笑いをしながら新の胸に顔を埋めた。
 そして彼の乳首をいじくりながら、「ねえ、巡り合ったら挨拶とかすると思う?」と意味ありげに彼を見上げた。
 
「挨拶か~。そうだね、初対面だから『初めまして』って言ったりして」

 すると、ふふっ、と考子が笑ったが、すぐに心配そうな表情に変わった。

「私の分身はちゃんと返事ができているかしら」

「大丈夫だよ。『お待ちしておりました』って三つ指ついているよ」

「まあ、結構古風なのね」

 考子がクスクス笑って抱きついてきた仕草があまりに可愛くて、新はギュッと考子を抱きしめた。
 そして唇を重ねたまま誘いの言葉を発した。
 
「もう1回する?」

 考子は思わず目を見開いたが、すぐに悪戯っぽい笑みを浮かべて、唇を合わせたまま魅惑的な声を発した。

「2回でもいいわよ」

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