星の数ほどいる中で【完】

「知り合いってあれか!? 病院で面会を繰り返す謎のナンパをしてきた奴!」

「天ちゃんに連絡先も教えずにいなくなった足折った人!?」

「天ちゃん友達におれのことなんて話したの!? 全部否定できないけど!」

友達につられたのか、海さんまで大きな声で言ってきた。

なんだかそれが、かちんときた。

「事実じゃないですかっ。海さんこっちの病院離れるって言ったけどそれからは音沙汰なしで!」

私まで声を大にして言うと、海さんは一瞬ひるんだ顔をした。

「で、でもあのとき約束したよね?」

「したのは彼氏作らないってだけで告白されないで、とは言われてないですっ。そもそもそっちだって転院した先で初恋したそうじゃないですかっ」

「告白されないでって天ちゃん可愛すぎるからそれを遮るの無理だよねっ? ってかそんなこと全然ないけどどこの誰の話? そもそも俺の初恋は天ちゃんです!」

「そ――…………ん、な………」

海さんに叫ぶように言われて、言葉を理解する時間があってから私の声はしぼんでしまった。

え、え、え。

「海さん私の事好きなんですかっ!?」

「ちょっ、さすがにそれは天声大きいっ」

思わず飛び出た特大の大声に、友達に両脇から口をふさがれた。

海さんは眉根にしわを寄せて私を見てくる。

「好きじゃなかったら彼氏作らないでとか言わないよね?」

友達二人の腕をほどきながら答える。

「いやでもそれって私の願望過ぎるから、別の意味だと思ってたんですけど……」

「願望って……俺の告白を待ってた?」

「う……すごい思いあがって調子に乗ってる人みたいじゃないですか、私……」

うぬぼれ過ぎることだから、考えないようにしていた。

その、願ってしまう可能性。

海さんは真っすぐに私を見てきた。

「答えて、天ちゃん。――いや、今のには答えなくていいや。代わりに、これには返事がほしい。俺、天ちゃんのことが好きです。確かに転院するとだけ言っていなくなったし、天ちゃんや天ちゃんの友達から見てもいけ好かない野郎だと思うけど――天ちゃんが俺の一番大事な人だってわかってるから、俺は天ちゃんの一番にも選んでほしいと思ってる。……俺と、付き合ってください」

それは――

「……これ、夢、ですか……?」

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