星の数ほどいる中で【完】
ある、晴れた日に。
「そう言えば海さん、私とは約束しなくても逢えると思うって言ってたのに、彼氏作らないで、とは言って来たよね?」
敬語を使うこともなくなった私。
海さんはバツが悪そうに目線を泳がせている。
二人手をつないだ、デートの始まり。
「まあ……そこはどうしても譲れなかったと言うか。俺、絶対に天ちゃんの彼氏になりたかったし」
「そだったんだ」
「うん。それから、カッコつけなくていいって言われたけど」
「うん?」
「好きな子の前だから。これからはしっかりカッコつけていくからね」
「……何回も惚れさせる気?」
「うん、ずっと」
「ずっと?」
「そう、ずっと」
そう言っていたずらっぽく笑う海さんは。
生涯、私のたった一人の人になった。
END.