星の数ほどいる中で【完】
庭園に入った私は、車椅子に乗ったままの男性と木陰にいた。
「名前、訊いてもいいですか……?」
「そらです。天って書いて、『そら』」
私の返事に、男性はちょっと驚いた顔をした。
「? どうしました?」
「いえ……、僕、海って書いて『かい』って読むんです」
「なんかお揃いみたいですねぇ」
「うん……ちょっとびっくりした」
「じゃあ海さんですね」
私が言うと、海さんは恐る恐るといった感じで私を見てきて口を開いた。
「……天ちゃん?」
「はい」
そう呼ばれて、なんだか嬉しくなった私が笑むと、海さんもにこにこした。
ほのぼのした日になった。