星の数ほどいる中で【完】
天と海

放課後、私は自分の机に片方の頬を張り付けていた。

「私はゴミだった……」

「え、何落ち込んでるの、天」

友達に言われて、恰好はそのままに返事をする。

「……今まで頻繁に逢ってた人の連絡先知らないって、あると思う?」

「天ちゃん、いつの時代に生きてる人?」

「だよね……。私、令和の高校生じゃないのかもしれない……」

私が不甲斐ない自分への愚痴をぶつぶつ言いだすと、友達二人がコソコソ話し始めた。

「ねえ、これ大丈夫? 天。励ました方がいい?」

「天ちゃん、ご両親に憧れが過ぎてるから常識見失いやすいんだよね……」

「内緒話はもっと小さな音量でして」

「あは、ごめん」

「すまん」

そんなわけで。

もう病院の庭園の前の道を歩いても、海さんに逢うことはなくて。

どどど、どうしよう……! 新しい病院で素敵な女性と出逢ったら、私みたいなすかぽんたんのことなんてばっちり忘れちゃうよね!?

「せめて連絡先を聞いておけばよかった……」

いや、でも海さんからも訊かれたことないな……私は海さんにとって入院中の暇つぶしだった!?

「うあ~! それはそれで傷つく……」

リアルに頭を抱えかけた。

でも今歩いて居るのは公道なのでやめておいた。

そのくらいの理性があってよかった。――と、直後思い知る。

「あ、カイからメッセ来てる」

「なんて」

「初恋しました。がんばります。……どういう意味?」

「俺に訊くなし。あいつ今遠いとこの病院だろ? 好きな奴ができたってだけじゃね?」

「えーと、がんばれ、くらい返しとくか……」

………。そんな会話をする、男性二人組とすれ違った。

………。

………。

………。

「え」

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