Midnight Summer Memory
葛藤

親友

何だかんだで、副担任や音楽教師、吹奏楽部の顧問。

忙しいけれど充実した日々を送っていた。

そんな中、琥珀(こはく)は悩んでいた。

付き合っている優弥(ゆうや)にも言わなければいけないし、勤め先の学校にも言わねばならない。

近い将来、確実に仕事に穴を空けることになるのだ。

副担任になって2年目になろうかという大事な時期なのに。

そんな悩みを、おそらく抱えて、乗り越えた親友たちの顔が浮かんだ。

「ごめん!
忙しいのに……」

彼女たちに娘が産まれた後、一度お邪魔したであろう深月(みづき)の家。

2LDKのメゾネットタイプだというそこは、
子供の動線を考えてか、かなり広い作りになっていた。

広いリビングに通されると、何だか初めて来た家のようだ。

リビングに並ぶ本棚には、精神医学の本が所狭しと並べられている。

深月は精神科医だが、彼女の夫の道明(みちあき)は臨床心理士だ。

彼らの職業柄、常日頃からいろいろな知識を頭に入れなくてはならない。

いつ来ても、広い家だ。



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