君とリスタート  剣士様は抱き枕を所望する

第七話「魔族娘は天然華」

「シオンさん、俺と結婚して頂けませんか?全身全霊を掛けて幸せにします」

出会って半日も経って居ない青年からの、急なプロポーズ。

「えっと、」
「駄目ですか?」
「駄目と言うか・・・」

純粋で芯の通った眼差しが、シオンに注がれている。
青年の嘘のない言葉に、シオンは絆され、慎重に言葉を探す。

ーーーーなんで、こんな事に・・・。


*****


「でっかい湖だな」
「きれぇ、見てライ。水中の魚がこんなにはっきりと見えるよ」

道中には、いろんな景色に出くわすが、こんなにも大きな湖を発見できるなんて、思いもしておらず、シオンは感嘆の声を上げる。

「脇道を選択した俺を褒めてくれてもいいよ」
「今回は、でしょ?」
「素直じゃないね」

バシャン。
バシャ、バシャ。
一際大きな水音が響いたと思ったら、続いて暴れる様な水音が鳴り続く。

その方角に目線を置くと、数十メートル先で男性が湖の中で踠いているのが見えた。
男性の近くには釣具が。
その最中に、何らかの弾みで湖に落ちてしまったのだろうと予測出来る。

ライがゆっくり予測している間に、シオンは駆け出す。
足に魔力を込め、飛躍力を高めたのだろう、一蹴りであっという間に目的の場所に。
シオンは迷わず湖の中へと飛び込む。

一方ライは、焦る事もなく足を進め、シオンの元へ向かう。

ーーーーシオンの奴、湖の中から顔を出さないな。何かあるのか?

ピカっと、湖から突然の閃光が。
ライは思わず目を瞑る。
普通の閃光ではない。
少し光を眼球に喰らっただけでも視界を奪われ、目を開く事を困難にさせられる。

ーーーーシオンの業だな。相変わらず優しい業ばかり習得する奴だな。

ライが視界の回復を待つ間、水音だけが響く。
漸くうっすら目を開く事が出来、ぼんやりとだが焦点も戻ってくる。

「あ゛?」

正常に戻る視界が真っ先に写した光景は、シオンが寝ている見知らぬ男性に口付けしている場面だった。
口を離しては、何度も口付けをしている。
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