君とリスタート 剣士様は抱き枕を所望する
第九話「剣士と魔王、時々姫」
赤い魔鳥に、物凄い速さで乱雑に運ばれているライ。
「レモンの方が運転上手だったし丁寧だったぞ」
ライが文句を垂れれば、赤い魔鳥は掴んでいたライを勢いを付けて投げ飛ばした。
そしてライが地面に落ちる前に服を掴み、やはり乱雑に目的地まで急ぎ出す。
「短気だね」
「キュィ」
「黙ってろってか?はいはい」
ライは今、次々変わる景色や、煌めく星や月を楽しむ気分ではない。
たかが鳥に当たってしまう程、最悪な気分だ。
さっきから、シオンの泣き顔が脳裏を過ぎって消えない。
少しきつめな物言いをした自覚はある、でも泣かせるつもりはなかった。
まさか、あのくらいでシオンが泣くなんて思いもしなかった。
ただ、自分から遠ざかってくれれば、それで良かったんだ・・・。
「キュゥィ」
不機嫌そうに魔鳥が鳴く。
魔鳥の視線の先には、雲より高い円柱の建物、天辺が確認出来ない。
「あれが魔王城か?」
「キュ」
赤い魔鳥は、再びライを天高く投げ飛ばした。
ただ今度は普通に見送られた。
最後まで太々しい鳥だな、なんて苦笑まじりにライは思う。
明かりの灯っている、開けっぱなしの大きな窓が見えた。
どうやら、そこが入り口らしい。
ライは勢いのまま、魔王城のどこかしらの部屋へと招かれた。
そこは随分とだだ広い白い空間で、夜なのに昼の様な明るさがある。
そして。
「やぁ、こんばんわ。剣士ライ」
自分と、そう歳は変わらないであろう青年。
笑顔の筈なのに、黒い瞳の切長の目は何処か威圧感を覚える。
真っ黒な髪は後ろで一つに纏められ、そこから見える立派な角が堂々とその威厳を示している様だった。
「魔王?」
「一応はね。初めましてだね、俺はヒカル。夜分に申し訳ないね、強引な真似をして」
「ほんとにな。で、俺に何の様なわけ?」
ヒカルと名乗った魔王は、軽い足取りでライの元へ近寄る。
ダァン。
痛くはない、痛くはないが、胸ぐらを掴まれたと思ったら、ライは抵抗する暇もなく、軽々と床に押し倒されていた。
ライを見下ろす瞳の奥には、蔑視さが伺えみえる。
勝てない、逆らえない、適応しない、圧倒的な力の差を、ライは即座に理解した。
「レモンの方が運転上手だったし丁寧だったぞ」
ライが文句を垂れれば、赤い魔鳥は掴んでいたライを勢いを付けて投げ飛ばした。
そしてライが地面に落ちる前に服を掴み、やはり乱雑に目的地まで急ぎ出す。
「短気だね」
「キュィ」
「黙ってろってか?はいはい」
ライは今、次々変わる景色や、煌めく星や月を楽しむ気分ではない。
たかが鳥に当たってしまう程、最悪な気分だ。
さっきから、シオンの泣き顔が脳裏を過ぎって消えない。
少しきつめな物言いをした自覚はある、でも泣かせるつもりはなかった。
まさか、あのくらいでシオンが泣くなんて思いもしなかった。
ただ、自分から遠ざかってくれれば、それで良かったんだ・・・。
「キュゥィ」
不機嫌そうに魔鳥が鳴く。
魔鳥の視線の先には、雲より高い円柱の建物、天辺が確認出来ない。
「あれが魔王城か?」
「キュ」
赤い魔鳥は、再びライを天高く投げ飛ばした。
ただ今度は普通に見送られた。
最後まで太々しい鳥だな、なんて苦笑まじりにライは思う。
明かりの灯っている、開けっぱなしの大きな窓が見えた。
どうやら、そこが入り口らしい。
ライは勢いのまま、魔王城のどこかしらの部屋へと招かれた。
そこは随分とだだ広い白い空間で、夜なのに昼の様な明るさがある。
そして。
「やぁ、こんばんわ。剣士ライ」
自分と、そう歳は変わらないであろう青年。
笑顔の筈なのに、黒い瞳の切長の目は何処か威圧感を覚える。
真っ黒な髪は後ろで一つに纏められ、そこから見える立派な角が堂々とその威厳を示している様だった。
「魔王?」
「一応はね。初めましてだね、俺はヒカル。夜分に申し訳ないね、強引な真似をして」
「ほんとにな。で、俺に何の様なわけ?」
ヒカルと名乗った魔王は、軽い足取りでライの元へ近寄る。
ダァン。
痛くはない、痛くはないが、胸ぐらを掴まれたと思ったら、ライは抵抗する暇もなく、軽々と床に押し倒されていた。
ライを見下ろす瞳の奥には、蔑視さが伺えみえる。
勝てない、逆らえない、適応しない、圧倒的な力の差を、ライは即座に理解した。