君とリスタート 剣士様は抱き枕を所望する
ーーーー今頃どうしてるかな。
シオンはラビア城に出向いた三人の事を気に掛ける。
その時、店の外が急に暗くなり、あんなに晴天だったと言うのに、雷鳴が響き、落雷までもが発生し始めた。
「ま、魔王、さま?」
その発生の原因が、おそらくではあるが、自分の敬愛する魔王ではないかと、シオンは即座に疑う。
魔王であるヒカルは、サクラコが絡むと魔力制御を誤り、天候までも誤作動させてしまう時がある。
・・・シオンは自分の憶測を、気にし過ぎだ、と言う事にし、料理が来るのを静かに待った。
ほんの一瞬の空の変化。
今はもう、晴れやかな空模様に戻っている。
「はいよ、お待ちどう。今一瞬の天気の荒れ具合は一体何だったのかね」
「さぁ、何だったんでしょうね。わぁ、良い匂い、いただきます」
シオンは、焼き鳥を一口頬張る。
タレの甘塩っぱさが焼いた鶏肉に絡まって、感じた事のない美味しさに、シオンの表情が輝く。
「嬉しい笑顔を見せてくれるね、お嬢さん。ほれ、新顔さんにおまけだ、うち独自で提供している葡萄果汁だよ」
「有難うございます」
女主人が出してくれた葡萄果汁を、シオンは喜んで受け取る。
暫く、焼き鳥に舌鼓になっていると、ガヤガヤと団体客が入って来た。
その団体客の中には、人間図鑑に掲載されている強者の顔が数人居る事に、シオンは気付く。
「ライ様が今、王都にいらしてるとは本当ですか?お久しぶりにお会いしたいです」
「俺はあいつと、一戦交えたぜ」
「流石だよなライは。姫様を連れ戻すなんてさ」
「噂では、その姫とライが、番契約したなんて囁かれてるわよね」
「まさか、あのライに限って有り得ないって。肉体関係はともかく、心は常に本命一途じゃんアイツ」
「そこがライの魅力なのよね。一夜の相手に対しても、口付けを許す事はないし、朝まで一緒に過ごすなんて事、絶対しないんだもの。でも、私はまだライを諦めるつもりはないわよ。いづれ、ライの心をユキトから奪って見せるんだから」
「でもさ、この前ケンゴに会った時、可笑しな事、言ってんだよな。ライが女と行動を共にし、雰囲気も様変わりしてたって」
「ケンゴだろ?ライに相手にされずホラを吹いてんだよアイツ」
「ここライのお気にの店だしさ、もし本当に王都に居るんだったらさ、此処で待ってたら会えるんじゃね?」
パンパン。
女主人が手を叩き、大きな音を出す。
「待ってるのは自由だが、他の客もいるんだ、静かに出来ない様なら追い出すからね」
騒がしくしていたのが嘘の様に、それぞれから「はい」と小さな声が鳴る。
人間図鑑に載る様な大物を一瞬で黙らす女主人の迫力。
シオンはそれを、葡萄果汁をコクコク飲みながら、頭朧なふわふわ気分で眺めていた。
「おかみさん、らいってここのお店に、よくくゆんですか?」
「お嬢ちゃんもライを知ってるのかい?そりゃ知ってるか、アイツ有名人だからね。まぁ、王都に寄った時は通ってくれる事が多いかな。って、お嬢ちゃん、大丈夫かい?舌が回ってない様だけど」
「ん?だいじょうぶですよ」
「可愛いお嬢さんだね、葡萄果汁で酔っちまったかい。ま、眠たかったら寝ちまいな」
女主人は枕と毛布を持ってくると、まだ頑張っているシオンの横へと備えた。
シオンはラビア城に出向いた三人の事を気に掛ける。
その時、店の外が急に暗くなり、あんなに晴天だったと言うのに、雷鳴が響き、落雷までもが発生し始めた。
「ま、魔王、さま?」
その発生の原因が、おそらくではあるが、自分の敬愛する魔王ではないかと、シオンは即座に疑う。
魔王であるヒカルは、サクラコが絡むと魔力制御を誤り、天候までも誤作動させてしまう時がある。
・・・シオンは自分の憶測を、気にし過ぎだ、と言う事にし、料理が来るのを静かに待った。
ほんの一瞬の空の変化。
今はもう、晴れやかな空模様に戻っている。
「はいよ、お待ちどう。今一瞬の天気の荒れ具合は一体何だったのかね」
「さぁ、何だったんでしょうね。わぁ、良い匂い、いただきます」
シオンは、焼き鳥を一口頬張る。
タレの甘塩っぱさが焼いた鶏肉に絡まって、感じた事のない美味しさに、シオンの表情が輝く。
「嬉しい笑顔を見せてくれるね、お嬢さん。ほれ、新顔さんにおまけだ、うち独自で提供している葡萄果汁だよ」
「有難うございます」
女主人が出してくれた葡萄果汁を、シオンは喜んで受け取る。
暫く、焼き鳥に舌鼓になっていると、ガヤガヤと団体客が入って来た。
その団体客の中には、人間図鑑に掲載されている強者の顔が数人居る事に、シオンは気付く。
「ライ様が今、王都にいらしてるとは本当ですか?お久しぶりにお会いしたいです」
「俺はあいつと、一戦交えたぜ」
「流石だよなライは。姫様を連れ戻すなんてさ」
「噂では、その姫とライが、番契約したなんて囁かれてるわよね」
「まさか、あのライに限って有り得ないって。肉体関係はともかく、心は常に本命一途じゃんアイツ」
「そこがライの魅力なのよね。一夜の相手に対しても、口付けを許す事はないし、朝まで一緒に過ごすなんて事、絶対しないんだもの。でも、私はまだライを諦めるつもりはないわよ。いづれ、ライの心をユキトから奪って見せるんだから」
「でもさ、この前ケンゴに会った時、可笑しな事、言ってんだよな。ライが女と行動を共にし、雰囲気も様変わりしてたって」
「ケンゴだろ?ライに相手にされずホラを吹いてんだよアイツ」
「ここライのお気にの店だしさ、もし本当に王都に居るんだったらさ、此処で待ってたら会えるんじゃね?」
パンパン。
女主人が手を叩き、大きな音を出す。
「待ってるのは自由だが、他の客もいるんだ、静かに出来ない様なら追い出すからね」
騒がしくしていたのが嘘の様に、それぞれから「はい」と小さな声が鳴る。
人間図鑑に載る様な大物を一瞬で黙らす女主人の迫力。
シオンはそれを、葡萄果汁をコクコク飲みながら、頭朧なふわふわ気分で眺めていた。
「おかみさん、らいってここのお店に、よくくゆんですか?」
「お嬢ちゃんもライを知ってるのかい?そりゃ知ってるか、アイツ有名人だからね。まぁ、王都に寄った時は通ってくれる事が多いかな。って、お嬢ちゃん、大丈夫かい?舌が回ってない様だけど」
「ん?だいじょうぶですよ」
「可愛いお嬢さんだね、葡萄果汁で酔っちまったかい。ま、眠たかったら寝ちまいな」
女主人は枕と毛布を持ってくると、まだ頑張っているシオンの横へと備えた。