怖そうな彼は実はとってもかわいい

 予想もしていなかった答えが返ってきて、びっくりしすぎて思考が追いつかない。



 「え?なんでパンケーキ食べてたところ見られたくなかったんです?」


 私は疑問に思ったことを素直に口にしてしまった。


 矢熊くんは険しい表情を更に険しくする。



 「……こんな…見た目してんのに、こんな可愛いもの食べてるの、学校の奴らに知られたら、からかわれるに決まってるから」
 

 低く、くぐもった声。



 矢熊くんの眉毛は眉間に寄っていて、目つきは鋭く、口はへの字になっている。

 いつもなら、その表情を見て怖い、と思っていただろう。


 でも、今は、どんな表情であっても、言っていることの内容的に少しも怖いとは思わなかった。



 それよりも…


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