怖そうな彼は実はとってもかわいい
「…たぶん…、あんたとほとんど話したことないから……その…」



歯切れの悪い矢熊くんを見て、あ、と思いついた。



「もしかして…緊張してたから表情険しくなってた…とか?」



私が言うと、矢熊くんが俯く。



「まあ…たぶん…」



髪で表情が隠れてあまり見えないけど、ほっぺが少し赤くなっているのが見えた。



え…。




何この人。


めちゃめちゃ可愛い。




胸の奥からぐわっと何かが湧き上がってくるような感覚がした。



「あの、矢熊くん」



「ん?」



矢熊くんは少し眉間に皺を寄せて、少しほっぺを赤くしたまま私の方を見た。


ダメだ。


なんか、どの表情でも可愛く見えてきちゃった。


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