繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 段々息があがり呼吸が苦しくなる。
 限界が近い。嫌悪感のみで必死に足を動かすが、先生との距離が近付いている気配がしゾッとした。

 怖い、と初めて思った。

(四回も死んだのに)

 テオドルに殺される瞬間ですら、彼の赤い瞳が涙で滲むのが悲しかっただけなのに、テオドルではない人に触れられるかもしれないと想像しただけで恐怖で心が萎縮する。

 ――あぁ、こうやって追われるのは二度目だ。

 あの時はテオドルと一緒だった。
 そして私が伸ばしていた髪の毛を掴まれテオドルと引き離されたことも思い出す。

(あれ以来一度も髪の毛を伸ばさなくて良かったわ)

 そのお陰で今先生に髪の毛を掴まれる心配はないだろう。
 あの時も髪の毛を切っていたら、こんなことにはなっていなかったのだろうか。

(ううん、きっと遅かれ早かれ捕まってたわ)

 そしてそれは、多分今も。
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