繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 けれど、会うつもりがないなら何故この街で自警団に入ったの?

(きっと、私を守るためだわ)

 そう思うと胸が締め付けられ、つい彼を抱き締める腕にも力が籠ってしまう。

「……あの、俺はもう会うつもりはなくて、これきりです。ですので離して貰えますか」
「どうして?」
「えっ」

 私の質問が余程意外だったのか、テオドルがぽかんとした顔で私を見下ろし、そしてそんな彼を私もきょとんと見上げる。

「周りも見ていますし」
「関係ないわよ。好きに見て貰いましょう」
「関係ありますよ! 貴女はっ」

 言いかけた言葉を飲み込んだテオドルが困ったように眉を下げる。
 貴族令嬢が人前で抱き付いているなんてバレたら醜聞だと思ったのだろう。

(本当にバカね、テオドルは)

 そんな彼にくすりと笑った私が更に抱き締める腕を強めると、ビクリと彼の体が強張る。
 筋肉質な体の固さが男性の体だと私に意識させ、ドキドキと胸が高鳴った。

「これきりなんでしょ? だったら私、離さないわ」
「は?」

 私の発言に分かりやすく狼狽えるテオドルが可愛い。

(嫌なら突き放せばいいのに)
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