繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
だが、彼がそうしないことも、そして私を嫌がっていないこともわかっていた。
だって彼は、今回も私を守るためにここにいてくれたのだから。
「……誰かの命と苦痛を犠牲にして時間を巻き戻す、この誰かの命とは、私じゃなくてテオドルね?」
私の質問に息を呑む気配がする。
緊張が触れた体から伝わるが、そんな彼を落ち着かせるようにそっと背中を撫でた。
「じゃあ苦痛は、死ぬほどの痛みを感じること、かしら?」
ほぼ確信を持った言葉だった。そうでなければわざわざ私の痛みを彼に転移される理由が無かったからだ。
しかしテオドルがゆっくり首を左右に振る。
「最初の回帰は、偶然でした。既に致命傷を負っている俺を庇う為に貴女が刺され、貴女を永遠に喪うというその恐怖で魔法が発動したんです」
「恐怖、で?」
「苦痛とは、身体的なものだけではありません。俺にとっての苦痛とは、貴女を喪うことだから」
だから、時には胸を刺し、時には見殺しにして私を殺したのだろうか。
目の前で私の命が消えるその瞬間が、彼にとって耐え難い苦痛だったから?
(痛みの転移は、関係なかったのね)
だって彼は、今回も私を守るためにここにいてくれたのだから。
「……誰かの命と苦痛を犠牲にして時間を巻き戻す、この誰かの命とは、私じゃなくてテオドルね?」
私の質問に息を呑む気配がする。
緊張が触れた体から伝わるが、そんな彼を落ち着かせるようにそっと背中を撫でた。
「じゃあ苦痛は、死ぬほどの痛みを感じること、かしら?」
ほぼ確信を持った言葉だった。そうでなければわざわざ私の痛みを彼に転移される理由が無かったからだ。
しかしテオドルがゆっくり首を左右に振る。
「最初の回帰は、偶然でした。既に致命傷を負っている俺を庇う為に貴女が刺され、貴女を永遠に喪うというその恐怖で魔法が発動したんです」
「恐怖、で?」
「苦痛とは、身体的なものだけではありません。俺にとっての苦痛とは、貴女を喪うことだから」
だから、時には胸を刺し、時には見殺しにして私を殺したのだろうか。
目の前で私の命が消えるその瞬間が、彼にとって耐え難い苦痛だったから?
(痛みの転移は、関係なかったのね)