繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 きっとただ私を痛みから庇う為にかけられた魔法。
 もしかしたら私に手を掛ける罪滅ぼしの意味もあるのかもしれないが、きっと大部分の意図は私を苦しませたくないというものからだったのだろう。

 彼の背中へ回したまま、そっと自身の手の甲を反対の手で思い切りつねる。

「ッ!」

 その痛みが彼に転移したのか、一瞬彼が顔をしかめた。

(だからここに来れたのね)

 リーヤには憲兵を呼ぶように頼んだ。
 もちろん先に見つけたのが自警団員なら自警団員へと声をかけている可能性もあるが、今この場に彼女がいないことを考えればテオドルはリーヤが呼んだのではない。

 きっと、腕を掴まれた時の痛みが彼へと転移し、私の危機を察して駆けつけてくれたのだ。
 回帰年数が段々伸びていることを鑑みれば、今のテオドルの方が先生より魔力が高く、先生の魔法を感知し壊すことが出来たということなのだろう。

 そう、今回も彼は私を守ってくれていたのだ。だから。

「だから、もう二度と離さない。食事もお風呂も寝る瞬間だってテオドルに抱き付いてるわ」
「な、何を」
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