繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 ただ、彼が自警団員として全うに生きていたこと、そして庭師として使用人たちの生活を、騎士として守り抜く力を、執事として内側から支える能力を、貴族として所作や礼儀を学び磨いたお陰で、受け入れられるまでにそう時間はかからなかった。

 ちなみに、我が伯爵家の後継者はテオドルではなく私である。
 私としては別にテオドルが継いでもいいと思ったのだが、そこは彼が頑なに譲らなかったのだ。
 彼にサポートして貰いながら、毎日父から仕事を学ぶ毎日。
 けれどそれも、今日だけはお休みである。

 何故なら今日は――

「ソフィ様、本当に美しいです」
「ありがとう、リーヤ」

 私に真っ白なドレスを着せてくれたリーヤの瞳が涙で濡れる。
 いつも私より先に泣いてくれる彼女が大好きだ。
 そんな彼女に釣られ私も泣きそうになるが、まだ泣くわけにはいかない。折角メイクもしたのに落ちては困る。

 だって今日は、私とテオドルの結婚式だから。

「準備は出来たか?」
「お父様!」

 迎えに来てくれた父は、ウェディングドレスを着た私の姿を見て感極まっている。

(もう、どこかへ嫁ぐ訳じゃないのに)
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