繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 二人並んだその姿を、避難する人はもういないのだ。

 尋ねられるまま誓いの言葉を述べる。
 何度も練習で聞いたはずなのに、神父様の言葉をあまり覚えてないのは、ベールを捲ったテオドルの表情が蕩けるほど甘かったからだろう。

「それでは、誓いの口づけを」

 その言葉を合図に、テオドルの顔がそっと近付き私もそっと目を閉じた。

(まだかしら)

 高鳴る鼓動を感じつつ期待で胸が膨らむ。

(早く早く)

 わくわくしながら待っているのになかなか口づけられなくて、つい片目を開けると、さっきまで蕩けるほど甘い表情だったテオドルが戸惑いを浮かべている。

「本当に、俺で……」
「いいに決まってるでしょ! バカ!」

 彼の首に腕を回し、引き寄せた勢いのまま唇を重ねると、客席からは悲鳴や非難ではなく甲高い歓声と野太い歓声があがった。
 野太い歓声は、きっと自警団員たちだろう。

「ね? もう誰も私たちを引き離そうとはしないわ」
「……はい」
「祝福されてるのよ」
「はい」

 笑いながらそう言うと、やっと安心したのかテオドルもふわりと笑う。
 そして。

「愛しています、ソフィ」
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