繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 熱い吐息が耳をくすぐり、彼の今はもうあかぎれはない骨ばった左手が私の体をなぞる。
 薄い布地の裾から手のひらが入り、私の腹部を這った。

(夢みたいだわ)

 ずっと望んでいたこの瞬間。
 以前の私はこの夢を叶えることは出来なかったけれど、認められ祝福された今日、その夢が叶うのだ。

「……髪、もう伸ばさないんですか?」

 ふとテオドルがそんなことを聞く。
 以前の人生で髪を掴まれたせいで捕まってから、一度も伸ばさなかった髪。

(でも、もういいのかもしれないわね)

「テオドルはどっちが好き?」
「どっちも好きです」

 即答されて思わず笑ってしまう。
 そうだ、秘密の恋人だった頃の私たちはこうだったなぁ、なんて改めて思い出す。

「じゃあ、久しぶりに伸ばしてみるわ」
「はい、楽しみです」
 
 少し遠回りしてしまったけれど、ちゃんと好きなところを口に出せる今に心から感謝した。

「テオドル、続き……」

 そう口にすると、私の髪を撫でていた右手がピクリと動き、ゆっくりと私の頬を撫でる。
 彼の手のひらが頬を包み、そしてやっと口づけが降ってきた。

「ん、んん」
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