繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
(なんだかんだでテオドルも嫌そうではないし、このまま結婚……なんて無理かしら)

 彼がここまで迎えに来てくれるのは、きっと私がテオドルを好きなことが邸中に広まっているため騎士団長が気を利かしているのだろう。
 それでも私の目には彼自身も満更ではなさそうに見える。

(流石に無理よね)

 しかし私はすぐにそう思い直して笑顔を作った。

「今日はどんな訓練をするの?」
「昨日と同じですよ、まず基礎体力をつけるトレーニングをして……」

(この関係は、私の片想いだから成立しているんだもの)

 邸の皆が温かく見守ってくれているのも、幼馴染のように育った私たちだから。
 誰も私たちが本当の恋人になるだなんて思っていないだろうし、万一そうなればきっと彼と引き離されるだろう。
 私は貴族令嬢としていつか家の為に政略結婚をする。
 その日までの期間限定のお遊びだからこそ、今の状況が成り立っているのだ。

(でももし、いつか彼が騎士として大きな成果をあげたら)

「私、待っているからね」
「はい、きっと」

 一瞬きょとんとしたテオドルは、すぐに真剣な表情になって頷いてくれた。
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