繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 すらりとしているくせに脱いだら筋肉質――というのはいつの夢で見たのか思い出せないが、その体もいいし、太陽の日差しに透けると髪は焦げ茶に、そして瞳は私の髪に似た色になるところもいい。
 騎士服もよかったし、燕尾服も似合っている。
 手は、とそこまで考え、その暴走する思考がふっと止まった。

「テオドル、手を見ていい?」
「はい、どうぞ」

 私のその不躾なお願いにも嫌な顔ひとつせず、テオドルが私に手を見せてくれる。
 その手はいつかの記憶にある、水仕事であかぎれが沢山ある手ではなくて少し残念な気持ちになった。

(どうしてあかぎれが沢山だった手じゃないとこんな気持ちになるのかしら)

 そのことを不思議に思いつつ、彼の手をじっと見つめる。騎士の時と同じところに剣だこと、そして執事の仕事故だろうか、ペンだこもあった。
 夢の中で騎士だった彼と同じくらいの剣だこがあるので、テオドルは剣を握り鍛えているのだろう。

 そして彼の手を見てわかったことは、あかぎれが沢山の手じゃなくてもやっぱり好きだということだった。
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