繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 そのことが少し寂しいと感じるなんて、私は重症のようだった。

「大丈夫、変な時間に目覚めたせいで……あ、もちろんその後もう一回寝たから寝坊しちゃったんだけどね。そのせいで体の感覚が狂ってるのかも」
「睡眠中に一度目覚めると、その後どれほど寝ても睡眠不足になるそうですからね。お疲れなら本日はもう私室へ戻られますか?」
「そうねぇ」
「よろしければお送りいたしますが」

 テオドルの提案を聞き、それもいいかも、なんて思った私だったが何か忘れているような気がして右手を顎に当て考える。
 何か、この執務室へ向かう前にした。この後の私の予定はなんだったか。何をしようとしていたんだったか。

「……あ」
「?」
「ごめんなさい、テオドル。私この後リーヤと騎士団の訓練を見に行くことになっているの」
「騎士団の、ですか」

(本当は騎士の貴方に会いに行くつもりだったんだけど)

 目的の人物が目の前にいるし、何より彼は執事だったのだ。
 過去に戻ってきたのかと思ったが、夢だったという結論も私の中で出している。
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