繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
「何もせずに解決するだなんて、もしかして私とんでもなくラッキーガールなんじゃない?」

 ふふっと思わず笑ってしまうが、それだって仕方ない。だってハッピーなのだから。
 心配事は消え、もしまたこの先トラブルがあっても次は事前に気付き準備する時間もある。
 それに騎士服のテオドルも良かったが燕尾服のテオドルも良かった。

 少し緩い訓練着から覗く胸元も最高だったけれど、カッチリと首元まで締まった襟の破壊力ったらない。
 見える肌面積が少なければ少ないほど感じる背徳感はなんなのだろうか。
 永遠のテーマのひとつである。
 
(けど、いつまでも眺めながら愛でている訳にはいかないわよね)

 次いつまた第二のテレーゼ子爵が出てくるとは限らない。
 それに私はスクヴィス伯爵家の一人娘。
 嫁ぐなら家の利益になる相手がやはり理想だろう。

「誰か丁度いい人いるかしら」

 どうせこの恋は一方通行なのだ。ならばせめて借金のカタなどではなく有益な相手と結婚したいのだ。


「――という訳で! 誰かおりませんか!?」
「えーっと、宿題の方は……?」
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