繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件

「――やっぱり、なんでも……ないです」
「ソフィさん……！？」

　上手い聞き方が思いつかず、私はしゅんと俯き話を閉じた。
　この話は、いつかいい言い訳が思いついた時にでもリベンジしようと思ったのだった。


「あの、最初に聞かれた質問の件ですが」

　授業が終わり、先生を見送ろうと一緒に玄関へと向かっていた時だった。
　何かを覚悟したかのように真剣な表情になった先生が私を振り返り、じっと見つめる。

（え、何聞いたかしら）

　全く思い出せず、だがぽかーんとしていても仕方ないので表情だけは真剣なものを取り繕い言葉を待っていると、ごくりと喉を鳴らした先生にきゅっと手を握られた。

「婿を迎える、というのはどうでしょうか」
「えっ」
「ソフィさんが嫁ぎ、跡継ぎを産んだとしても長子は嫁ぎ先の跡継ぎになります。そして運よく男児がふたりも生まれるとは限らない」

（あ、そういえば誰かいい人いないかって聞いたんだっけ）

「それに嫡男を探すより次男、三男の方が多い。婿を取れば長子はスクヴィス家の跡継ぎに出来ますし、ソフィさんがこの家から出る必要もない」
「なるほど」