繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 いつもハッキリと話す彼が口ごもるのを聞き唖然とする。
 更に彼が戸惑いながら視線を下げたので、つい反射的にその顔を下から覗き込んだ。

「テオドル?」

 てっきりバカなことを言った私を笑うか、呆れるかしているのかと思ったのだが、彼の表情がどこか暗く落ち込んだ様子だったことに私まで釣られて目を見開いてしまう。

(どうしてそんな、私変な事を言ったのかしら)

 ほぼ無意識に彼の頬へと手を伸ばしたが、触れる寸前で彼が背けるように顔をあげたので触れることはなかった。
 そのことに無性に腹が立つのはどうしてなのだろう。

(昔はテオドルの方から誰よりも近くで触れていたのに!)

 肌と肌が触れるその熱を今でも思い出せるのに、なんて考えが一瞬浮かび、それはいつのことなのだと思考停止してしまう。
 だって私は彼と“触れ合ったことなどない”のだから。

「――?」
「ソフィ様?」
「え、あ……ごめんなさい。何か今思い出したことがあった気がしたんだけど、よくわからなくて」
「お疲れなのでしょう。私室までお送りします」

 さっきまでの暗い表情をパッと消したテオドルの後ろを歩く。
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