繰り返し何度も私を殺すその人が何度死に戻っても好きな件
 彼の態度は主人の娘に対する敬意など何も感じない、淡々としたもので、そう思えば思うほどものすごく腹が立つ。
 だって私はこんなにもテオドルのことを考えていて、そしてもし婿を取ればこれから先もずっと側にいられるだなんて考えるくらいなのだ。
 そんな私に対して彼のこの対応はあんまりではないだろうか。いや、あんまりだ。ものすっごくあんまりだ。

「ねぇ、まだ時間あるでしょ。私の部屋でお茶でもどうかしら」
「この時間から、ですか?」
「あら。まだ明るい時間よ」

 夕食にはまだ少し早いが、十分日が落ちている時間であることにテオドルが意表を突かれた顔をする。
 その戸惑った顔を見ると、さっきまでの苛立ちが少し収まるようだった。

「問題ないでしょ?」
「いえ、ですが俺は」
「執事じゃない」

(騎士だったような気もするけど、どっちにしろ私の身内だわ。お父様だって相手が信頼しているテオドルならむしろ安心するはずよ)

「そう……ですね、執事、ですから」
「?」

 またも歯切れの悪い返答だったことに疑問を持つが、彼が私の部屋の扉を開けてくれたので素直に中に入る。
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